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#001 2010.08.04
 オリジナル短編小説 (朗読用脚本)
 『海と空と、星の降る夜に。』
  〜僕らがもらったプレゼント〜

お礼としてのなにか

#001 2010.08.04
 オリジナル短編小説 朗読
 『海と空と、星の降る夜に。』
  〜僕らがもらったプレゼント〜

  著作:おだ
  朗読:おだ
  時間:8分30秒(11.6MB)
  音楽:グリーグ作:子守唄 (音楽の卵さま制作)

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テキスト

◆題名 『海と空と、星の降る夜に』
      〜僕らがもらったプレゼント〜

◆登場人物
 くじら
 いるか

◆本文はここから


「今夜も星がきれいだね」
くじらさんは言いました。
「そうだね」
いるかさんは白いお腹を星空に向けて、背泳ぎしながらくじらのとなりを泳いでいきます。
ふたりはならんで夜のおさんぽをしていました。
静かな海にふたりの泳いでいった印が二本、細く白い波になっていきました。


「ねぇ?くじら?」
「どうしたの?」
「ぼくらは、どうして生きているの?」
いるかはすいーっと軽やかに尾ひれを動かすと、
くじらの下をくぐって、右側の水面にでてきました。
くじらが黙っていると、
「ぼくらは気がついたら海にいて。こうやって泳いでる。
 おなかがすいたらごはんを食べて、
 天気の良い日は水面をはねて遊んだり、星空がきれいな夜は、
 くじらとこうやっておさんぽしたりする。
 だけど、どうして生きているんだろう?って気になったんだ。
 くじらは本をいっぱい読んでいるだろ?
 だから、なにか知っているかもしれない、って思ったんだ」
くじらは言いました。
「僕たちはね、生かされているんだよ」
いるかはきょとんとした目でたずねました。
「生かされているの?」
くじらは頷いて続けました。
「そう。生かされているんだよ。どこかのだれかさんに。
 だから、僕らは生きているだけでいいんだ。生きていくだけでいいんだよ」
「生きていくだけでいいの?」
「そう。それだけでいい」
「だけど……」
いるかは不安そうな顔をしていいました。
「だけど、ほんとうにそれだけでいいの?」
「いるかはスポーツも好きだし、
 じっとしていられないたちだから不安になるんだね」
くじらがそういうと、いるかはうなずきました。
「そう、なにかしていたくなるんだ」
いるかがそういうと、くじらはいつもの優しい目を、
もっと優しい目にしていいました。
「それも大切なことだよ」
いるかはくじらにそう言われて、ちょっと安心しました。
くじらは言いました。
「僕たちは、生きていくだけでいい。
 だけど、ちょっぴり物足りなくなる。
 僕らをつくっただれかさんは、そんな気分になるように、
 僕らに魔法をかけたんだ」
「魔法?」
「そう。なにかしていたくなる、ウズウズする魔法」
「どうしてそんな魔法をかけたの?」
「さぁ?僕にはわからない。
 だけど、きっとね、その魔法は僕らをつくっただれかさんからの、
 プレゼントだと思うんだ」
「プレゼント?」
「ただ生きていく。それできっと、正解。
 だけど、なんだかウズウズしてしまって、なにかやりたくなってしまう」
「なにをやればいいの?」
「なんでもいいんだと思うよ」
「なんでも?」
「そう、僕らはそのウズウズする魔法と一緒に、
 なんでもやっていいよ、っていう自由をもらったんだ」
「なんでもいいの?」
「うん。なんでもいいと思う」
「ボール遊びでも?」
「うん」
「紅茶を飲むことでも?」
「うん。こうやって、
 のんびり星空をながめながらおさんぽすることでもいい」
「そっか」
いるかはまた、波の下にもぐると、くじらの左側にもどりました。
「こうやってくじらの左側にいてもいいってこと?」
「そうだね」
いるかは笑顔になりました。
くじらは微笑んで、いるかにたずねました。
「わくわくする?」
「うん、なんだか、わくわくしてきた」


ふたりはまた、静かな海の上で、静かな星空を見上げました。
いるかさんは言いました。
「今夜も星がきれいだね」
「そうだね」
ふたりはならんで夜のおさんぽをつづけました。
静かな海にふたりの泳いでいった印が二本、細く白い波になっていきました。


 −おわり−

ご挨拶

読んでくださって、聞いてくださってありがとうございます。
ご存知の方はいらっしゃると思いますが、
ある作品から影響を受けて創りました。
工藤直子さん作 「ともだちは海のにおい」です。
幼い頃一度読んで好きになったお話です。
しばらく忘れていて、
ふと思い出して読んでみました。
そしたら、やっぱり、好きなお話でした。
登場人物のくじらさんといるかさんにお願いして、
出演していただいちゃいました。
完全にオリジナルというわけではありませんので、
拍手お礼として裏側で公開させていただきました。

                   2010.08.04 おだ