Sense Lack Project

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ここでは、ボイスドラマに仕上げた作品の脚本を公開しています。
読みながら聴いてみたり、実際にやってみたりしてみてください。
著作権は放棄していませんが、趣味の範囲での創作活動のためならご利用くださってかまいません。
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#002 『 正解は、いちがつついたち 』  <読む>

 登場人物 : 2人 (男2名)
 完成作品 : 約7分(SE込み)  

 配役
 丹波信也 男性
 葛輪恵祐 男性


信也「あー、めんどくせぇ」
恵祐「終わった?」
信也「終わるわけねぇじゃん」
恵祐「来週の水曜日休みとかじゃないかな〜」
信也「そりゃないな」
恵祐「ゼミの課題とか出ると思わないじゃんなー」
信也「多すぎだよ」
恵祐「あー、単位落とせねぇしなぁ〜、あー」
信也「もう12月だしなー」
恵祐「はやいなー」
信也「あ。なぁ?恵祐?」
恵祐「ん?」
信也「正月ってさ、いつから正月なの?」
恵祐「年明けたらだろ?」
信也「いや、そうじゃなくて、」
恵祐「なに?」
信也「正月って誰が呼んだんだろうなぁ?って思ってさ」
恵祐「誰がって?」
信也「名づけ親?」
恵祐「あぁ、名付け親ね」
信也「そうそう」
恵祐「俺はじいちゃんだよ?恵祐って名前はね、/」
信也「いや、お前のは聞いてなくて、「正月」のこと」
恵祐「ショーガツ?」
信也「そう。正月を誰がいつ正月って名づけたんだろうなぁってこと」
恵祐「あ。あぁ。そっちか」
信也「なに?今わかったの?」
恵祐「いや?別に?わかってたけど?」
信也「ほんとか?」
恵祐「わかってたって。わかってるに決まってるだろ?」
信也「じゃあ、名付け親も?」
恵祐「知ってるよ!あたりめーだろ?」
信也「おぉ、誰?誰が正月の名付け親なの?」
恵祐「そ、そりゃーお前、かの有名な、アレだよ」
信也「有名な?」
恵祐「アレだよ。……あの、ほら、あの人だよ」
信也「誰?」
恵祐「あの、アレ。馬から生まれた人」
信也「馬?」
恵祐「うまなんとかのなんとかって人」
信也「ん?」
恵祐「あれだよ、なんだっけ?メンチカツみたいなひと」
信也「聖徳太子?」
恵祐「そーそれ、めんたいこ」
信也「なんだよ、めんたいこって」
恵祐「しょーとく、たいし。のタイシが、」
信也「あぁ、た、い、し、ってこう書くから?」
恵祐「そうそれ!」
信也「うまやどのおおじ、ね」
恵祐「あー、すっきりした。っつーか、お前メンチカツでよくわかったな、天才だよ」
信也「先に言ったじゃん?馬からどうのこうのって」
恵祐「馬から生まれたんじゃなかったっけ?あの人」
信也「馬から生まれたら、それ、もう人じゃないから、ただの馬だから」
恵祐「蘇我氏のほう?」
信也「え?」
恵祐「蘇我馬子(そがのうまこ)っていなかったっけ?」
信也「あー、なんかいたかも」
恵祐「ちょっとまって、調べてみる」
SE:PCのキーボードの音
恵祐「あぁ、いるね、そがのうまこ」
信也「あぁ、いるね」
恵祐「なんか、古い人だね」
信也「でも、あれじゃん?しょうとくさんらへんの人っぽくね?」
恵祐「うん。それっぽい」
信也「あ、しょうとくさんは?」
恵祐「あ、うん。」
SE:PCのキーボード
恵祐「ん〜、いないね、しょうとくさん」
信也「あぁ、まさか、しょうとくさんって検索したの?」
恵祐「え?違う?」
信也「『しょうとくさん』ってひらがなで検索したらさ、
   ショウドシマの特産、とかって出てくるんでしょ?」
恵祐「おー、すげぇ!っつーか、すげぇな!お前天才だよ!」
信也「え?なにが?」
恵祐「小豆島の特産」
信也「でたの?」
恵祐「でた。」
信也「小豆島の特産ってなに?」
恵祐「香川県」
信也「特産、聞いたんだけど?」
恵祐「何だと思う?」
信也「島だから、海の幸とか言ってれば無難だろ?」
恵祐「まぁ、そうですね〜、無難ですね〜、つまらないですね〜。
   すっげぇ、意外かも?」
信也「ヒントは?」
恵祐「日本っぽくないもの」
信也「ん〜」
恵祐「香川県、小豆島の特産品はなんでしょーか?」
信也「当てるよ?」
恵祐「お!何?」
信也「オリーブ」
恵祐「すげぇーーーー!あたり!!おまえ、すげぇな!」
信也「まぁな」
恵祐「おまえ、あれだろ?馬から生まれたんだろ?すげぇな!」
信也「馬からは生まれてないけどな」
恵祐「しょうとくさんっぽい!実は、生まれ変わりなんだろ?!」
信也「まぁな」
恵祐「っつーか、なんで?わかったの?知ってたの?」
信也「じいちゃん家、小豆島だから」
恵祐「・・・・・・なんだ。デキレースですか」
信也「そんな、そこまでがっかりしなくても」
恵祐「俺、ホントに信じてたのに、天才だって思ったのに」
信也「ごめん」
恵祐「俺、お前のこと、推古天皇を助けて摂政になって、
   ぜったい冠位十二階なんだと思ったのに。
   俺、お前が憲法を十七条もつくったんだって思ったのに」
信也「・・・」
恵祐「俺、お前が馬から生まれたんだって/信じてたのに」
信也「それは信じなくていいよ、馬からは生まれてないし」
恵祐「俺、お前が小野妹子だって疑わなかったのに」
信也「あ、それは違うね。違う人」
恵祐「っつーか、俺、最近まで小野妹子、女だと思ってた」
信也「え?」
恵祐「俺、女の人なのにすごいなー、海渡って中国までいかされて、
   さんざんだなおい。って思ってた」
信也「あ、そうなの?」
恵祐「え? あー、まさか!今日まで?」
信也「え?男?」
恵祐「かんべんしてくださいよー、聖徳太子なんでしょ?」
信也「いや、ちがうけど」
恵祐「(なりきって)
   しょうとく  :いもこさん!
   いもこさん :『はい』
   しょうとく  :今度、あなたにお願いしたいことがあるんです。
   いもこさん :『なんですかしょうとくさま?』
   しょうとく  :ちょっとさ、お前、海渡って、あっち行ってこいや?」
信也「ひどっ」
恵祐「ぜったい、そんな感じだって!」
信也「聖徳太子?」
恵祐「うん、十人の声を聞き分けたとかあるじゃん?」
信也「あー、聞いたことある」
恵祐「十人くらいならんでてさ、」
信也「うん」
恵祐「全員から、あーだこーだわーわーわーわーいっぺんに言われるじゃん?」
信也「うん」
恵祐「そのとき、聖徳太子はこう言ったのであります」
信也「なんて?」
恵祐「あーーーー、わかったわかった、
   お前らわかったから、とりあえずうるせぇだまろうか?って。」
信也「ひどくねぇ?」
恵祐「にんげんさー全員の言葉をいっぺんに聴くなんて無理だから」
信也「だからすごいんじゃなくて?」
恵祐「ぜったい、うちのゼミの先生みたいに、あとで個別面談だから」
信也「あ。」
恵祐「どうしたの?」
信也「やべぇ」
恵祐「なに?」
信也「個別面談、今日。っつーか、やべぇあと5分」
恵祐「研究室?」
信也「うん」
恵祐「いってらっしゃい」
信也「やべー、ぜったい怒られるー」
恵祐「なんかやったの?」
信也「なんもやってないけど、なんか怒られる気がする。
   っつーか、ちょっといってくるわ」
SE:椅子を引く音
恵祐「おう」
SE:足音走っていく
恵祐「よいしょっと」
SE:椅子を引く音
恵祐「えっと、なんだっけ?……あ、正月。
   『正月はいつから正月』 っと」
SE:パソコンキーボード
恵祐「そりゃそうだよね」


  -END-


※使用している記号について
・SE …… サウンドエフェクト 効果音
・M …… 音楽 挿入曲  (文色では、演出上必要な場合にのみ記載。たいていの場合、音響の判断でつけるようにしています)
・(N) …… ナレーション  (文色では、演出上、モノローグ(独白)のような場合もある 今回の物語ではモノローグ的な演出)
・FO …… フェードアウト (効果音に関する指定)
・/ …… 台詞のカットイン (重ね入り)